令和8年第1回定例会(第6号)
◯十一番(江崎さなえ君)
会派を代表し、本定例会に付託された知事提出の第六十八号議案に反対し、その他の知事提出議案に賛成、議員提出議案第一号から第六号に反対の立場から討論を行います。
初めに、第六十八号議案、東京都子供・子育て会議条例の一部を改正する条例について申し上げます。
本改正は、会議運営の拡充を理由として委員総数の上限を引き上げるものです。しかし、その具体的理由の一つとして福祉局から示されたのは、子育て当事者や子供、若者当事者の委員について、一人では意見を述べにくいため二人にするという説明でありました。
まず、大前提として、一人で意見を述べることが困難であるような委員を任命すること自体、適切であるとはいえません。委員には、それぞれの立場を代表し、自立して発言する責任が求められるべきであります。
また、委員数の増加は、当然ながら報酬の増加を伴い、結果として財政負担の拡大につながります。仮に、新たな視点を取り入れる必要があるのであれば、単に総数を増やすのではなく、既存の構成を見直し、調整することで対応するべきであると考えます。
限られた財源の中で、行政運営は常に効率性と合理性が求められます。こうした細部における支出の積み重ねにも厳しく目を向けるべきであります。
以上の理由から、本条例改正には反対であることを申し上げます。
次に、令和八年度一般会計当初予算案について申し上げます。
本予算案は、前年度と比べ四千九百五十億円増の九兆六千五百三十億円となり、予算規模はさらに拡大をしております。
予算特別委員会において、脱炭素政策について、知事は、政策決定が国際機関の意向に左右されるものではなく、都が主体的に判断していると答弁されました。しかしながら、実際には、本来、自治事務の範囲内で都が独自に判断すべき政策であるにもかかわらず、二〇五〇年まで一刻の猶予もないとして同年を達成目標に掲げている点から、国際基準や国の方針に追随しており、主体的判断とはいい難い状況にあります。
また、国産のAIの重要性を重視する姿勢は評価いたしますが、当初から国際競争に乏しい中小規模、脱炭素型のデータセンター整備を進める計画は、戦略として十分とはいえません。
何より、都全体として脱炭素を推進しつつも、その建設、運営に必要な電力を再エネのみで賄えると答弁しておらず、現実には賄い切れないことが明らかになっています。このことは、主体性と実態の間に乖離が生じていることを示すものであり、理念として掲げる目標と現実に整備されるインフラや電力需給との間にギャップが存在しているといわざるを得ません。
エネルギー、食料、技術、デジタル基盤といった国家や都市の基盤分野について、過度に海外に依存することなく、我が国の独自性や自立性を高めることが不可欠であります。特に、デジタル分野では、デジタル主権の確立が重要であります。国内技術の育成と産業基盤の強化を優先するべきであります。
我が会派は、デジタル主権を他国に奪われることのないよう、データセンターの整備については一旦脱炭素の枠組みから切り離し、国際競争に勝ち得る環境整備を進めるとともに、我が国のデジタル主権確保に資する政策の推進を強く求めます。
また、都が自治事務の範囲内で主体的に決定したというのであれば、二〇五〇年という達成目標についても、その設定を見直す余地は十分にあると考えます。
次に、少子化問題について申し上げます。
我が国は、急速な人口減少という歴史的局面に直面しており、出生数の減少は、社会保障、労働力、地域社会の維持、あらゆる分野に深刻な影響を及ぼしております。
都内においては、一時的な持ち直しの兆しが見えるものの、依然として十分とはいえない状況にあります。若い世代が安心して結婚し、子供を産み育てられる環境の整備は喫緊の課題であります。
財政規律の重要性については理解するものであります。しかし、今こそ人口減少を食い止めるための姿勢を示さなければ、将来世代への責任を果たしているとはいえません。
まずは、歳出の見直しを徹底し、実施可能な施策を最大限講じるべきであります。その上で、なお不足する場合は、都債の発行を含め、将来を見据えた政策判断を行うことを求めます。
次に、経済成長への取組について申し上げます。
知事は、施政方針において、国内外から投資の流れを呼び込むには、金融市場を活性化して国際金融都市としての存在感を高めなければなりません、海外の資産運用業者や都民の課題解決に資する外国企業のニーズに応じた支援を行い、東京進出を促進すると述べられました。
しかし、この政策の本質は、東京に投資を行うことで投資家が利益を得る仕組みを整備することにほかなりません。そもそも投資によって利益を得られる都民はごく一部に限られます。
都政が優先すべきは、投資マネーの呼び込みではなく、日々こつこつと働く都民が着実に所得を得られる環境の整備であります。安定した雇用の確保など、実体経済を支える政策にこそ力を注ぐべきであります。
加えて、インバウンドによる消費は限定的であることも申し上げておきます。
令和六年の日本の名目GDPは約六百兆円規模であり、日本経済において個人消費がGDPの六割を占めております。経済成長の基盤はあくまで内需にあります。
これに対し、観光庁によると、令和六年の訪日外国人旅行消費額は約八兆円に達しておりますが、日本経済全体から見れば、その規模はGDPの一%前後にとどまる水準であります。
こうした前提に立てば、訪日外国人消費のGDPへの寄与はおおむね一%前後にとどまる水準であり、日本経済の基盤を支える規模とはいえません。
また、外国人観光客が日本を訪れる理由の一つとして、日本は安いと評価されている点が挙げられます。円安や各国とのインフレ率の格差により、外国人から見て、日本での観光や消費は相対的に割安になっています。こういった現状が訪日動機の一因となっている実態も踏まえる必要があります。
だからこそ、都が目指すべきは、国際金融都市やインバウンドによる外需を喚起する政策ではなく、都民の所得を着実に増やし、家族を養える賃金水準の仕事の創出につながる政策に力を入れることであり、その結果、都民の個人消費を基盤とした内需拡大による経済成長を実現させることであります。
最後に、女性のがん検診応援事業について申し上げます。
女性特有のがん検診を受けた都民に対し、二千円分の東京ポイントを付与するもので、十六億円の予算が計上されております。
さきの一般質問に対する答弁において明らかとなったのは、指標の単位の相違と、定量的な分析が行われていない点の二点であります。
まず、単位の相違についてであります。
複数回にわたり、女性のがんにおける死亡者数の減少の整合性や根拠を問いただしてきたにもかかわらず、保健医療局は死亡率減少という指標で答弁をしております。質問の趣旨に対し、単位の異なる指標で答弁を行うことは、質問の趣旨に即した適切な回答とはいえません。
次に、定量的な分析が行われていない点であります。
東京都は女性活躍の推進を掲げておりますが、過剰診断により、臨床的意義の低い病変の発見や不要な外科的処置、心理的負担、就労制限が生じれば、結果として女性の就労機会に負の影響を及ぼす可能性があります。
この点について、過剰診断による就労損失日数や治療に伴う離職、心理的負担への影響を含めた経済インパクト評価について質疑を行いましたが、答弁において示されたのは、経済損失に関する一部の言及にとどまり、具体的な数値に基づく分析は示されておりません。
政策を実施する以上、その効果と不利益の双方について、客観的かつ定量的に示すことは当然の責務であります。
さらに、過剰診断や偽陽性の不利益が生じた場合の責任の所在についても明確な答弁はなく、制度設計として不十分といわざるを得ません。
公衆衛生政策は、産業のためではなく、都民のためにあるべきものです。受診率という数字ではなく、死亡者数の減少、健康長寿の延伸、経済活動の維持を達成する設計を改めて強く求めます。
都議会参政党は、日本の国益を守り、世界に大調和を生むという理念の下、国家国民のために尽力していくことをお誓い申し上げ、討論を終わります。(拍手)