令和8年第2回定例会(第9号)
◯十一番(江崎さなえ君)
会派を代表し、質問させていただきます。
初めに、三月十六日に、辺野古沖で発生した同志社国際高校における修学旅行中のボート転覆事故により、二名の尊い命が失われました。
亡くなられたお二方に哀悼の意を表するとともに、ご遺族の皆様に心よりお悔やみを申し上げます。
今回の事故は、単に修学旅行中に発生した痛ましい事故として捉えるべきではなく、その背景には、特定の政治的な活動との関わりも指摘されております。
学校教育は、教育基本法の趣旨にのっとり、政治的中立性が確保されなければなりません。教育活動が特定の政党や政治運動への協力に誘導する形で行われることは、厳に避けるべきであります。
文部科学省が政治的中立性の観点から教育基本法違反を認定したことや、五月八日の衆議院法務委員会において、現在も沖縄の基地反対運動を行っている者の一部には極左暴力集団が確認されていると警察庁が答弁したことを踏まえれば、なぜ修学旅行において反基地運動を行う方々と接点を持つ形になったのかという、教育活動の在り方そのものについても、構造的な視点から検証する必要があると考えます。
都立高校の修学旅行先として沖縄県が多く選ばれている中、修学旅行における平和教育は、政治的中立性や多角的視点に十分配慮したものであるべきと考えますが、平和教育の在り方について知事の見解を伺います。
今回の事故で浮き彫りとなったのは、安全管理及び危機管理意識の脆弱さであります。事故当日は波浪注意報が発令されており、現場警戒に当たっていた海上保安庁から注意喚起が行われていたにもかかわらず出航がなされました。
また、当該船舶については、抗議船であったことに加え、海上運送法に基づく事業登録が行われておらず、人を運送するに当たり適切な船舶でなかったことも明らかとなっております。
修学旅行は不慣れな環境であることから、生徒が適切な危険判断を行うことは容易ではありません。だからこそ、学校側やツアー会社などが生徒の命と安全を最優先に考え、危険を回避する引率体制が求められます。
そこで、都立高校における修学旅行や校外学習において、危機管理及び安全管理はどのような体制で行われているのか伺います。
また、現地で連携する外部団体や、生徒に講演を行う外部講師等について、教育委員会はどの程度実態を把握し、どのような確認を行っているのか伺います。
さらに、今回の事故を受け、現在、都立高校で行われている平和学習の実態調査を行う必要があると考えますが、見解を伺います。
平和資料館等を活用した平和学習については、その教育的意義を認める一方で、展示内容や歴史認識について様々な評価や見解があることも事実であります。
生徒に特定の歴史感や一面的な価値観を与えるのではなく、多面的な視点に基づき、自ら考え、判断する力を育むことが重要であります。
そこで、平和教育や歴史教育において、政治的中立性をどのように確保しているのか伺います。
学校教育の一環として行われた活動の中で、生徒の命が失われるという重大な事故が発生したことは極めて重い問題であり、決してあってはならないことであります。未来ある子供たちの命を守ることは、何よりも優先されなければなりません。
東京都が管轄する全ての学校において、このような事故が二度と起こらぬよう、危機管理、安全管理の体制を徹底するとともに、教育の政治的中立性を確保することを強く求め、次の質問に移ります。
次に、多様な他者との関わりの機会の創出事業について伺います。
都は、国に先駆け、保育所等を利用していないゼロ歳から六歳までの未就園児を対象とし、利用時間に上限を設けない制度設計としています。
一方、国のこども誰でも通園制度は、ゼロ歳六カ月から二歳児を対象とし、利用時間は十時間を上限としています。
こうした制度設計の下、本事業は、非認知能力の向上や、在宅子育て家庭の孤立防止等を目的として掲げております。
対象者の約九五%を占めるゼロから二歳児において、非認知能力の向上を事業効果として掲げることが適切であると判断した根拠を伺います。
また、発達の個人差が大きいゼロから二歳児において、非認知能力の向上をどのように測定、評価しているのか伺います。
令和三年九月に開催された文部科学省中央教育審議会によると、乳幼児期の発達の特徴は、親子関係の愛着による安定性と、個人差が大きいことである、非認知能力は、特に乳幼児期、満四歳から五歳に顕著な発達が見られ、学童期、思春期の発達を経て、大人に近づくと整理されています。
加えて、日本小児科学会、わが国の社会への「保育環境の整備に関する提言」では、できるだけ子供と親が家庭にて接する時間を増やすこと、保護者が延長保育、夜間保育、病児保育、病後児保育を利用しなくても済む労働環境や経済支援を整備すること、子供が病気のときは、保護者やそれに代わる親族が病気の子供を見るのが原則、保育時間の長時間化は子供の成育にとって必ずしも望ましくない、乳幼児にとって温かな母子関係が構築されることが、その後の人格形成に不可欠である、保育を利用する側も、保育の長時間化には問題がある点を認識するべきであるなどが指摘されております。
そこで、制度設計に当たり、親子が関わる時間の減少や母子の情緒的な結びつきへの影響について、どのような指標に基づき検証を行ったのか伺います。
また、今後、親子の関わる時間が減少したことによる影響について、どのように検証していくのか伺います。
これらの知見を踏まえれば、乳幼児期において最も重視されるべきは、母子間の愛着形成や親と接する時間であることが分かります。
多様な他者との関わりや非認知能力の向上を掲げる目的設定は、対象者の約九五%を占めるゼロから二歳児の発達特性や実態を踏まえたものとはいいがたい上に、約七十三億円もの予算が計上されていることへの妥当性については、疑問を抱かざるを得ません。
事業目的の妥当性と利用実態の整合性について検証を求めます。
最後に、東京都こども基本条例について伺います。
東京都こども基本条例では、子供の最善の利益を最優先にすることを基本理念として掲げています。
そこで、本条例における子供の最善の利益の定義を伺います。
また、子供の最善の利益と、女性活躍推進条例やその他の条例との間で、政策との間で調整が求められた事案はあるのか伺います。
また、その際どのように調整を図ったのか伺います。
今行うべき政策は、保護者が経済的な理由から長時間保育を利用せざるを得ない状況から脱却できるよう、さらなる経済支援を講じるとともに、出産、育児はキャリアであるとの認識の下、子育てに専念した期間をブランクとして捉えるのではなく、未来を担う子供を育む重要な経験として社会で評価し、子育てが一段落した後の就労を支援する仕組みの構築であると考えます。
子供の最善の利益を最優先に、子育てを大人の都合ではなく、育っていく子供の視点に立って見直すことを強く求め、質問を終わります。(拍手)
◯教育長(坂本雅彦君)
江崎さなえ議員の一般質問にお答えいたします。
五点のご質問にお答えいたします。
まず、平和に関する教育についてでございますが、都立高校では、学習指導要領の中の、国際社会に主体的に生きる平和で民主的な国家及び社会の形成者に必要な公民としての資質、能力等についての教育を進めております。
次に、修学旅行や校外活動の安全対策についてでございますが、都教育委員会は、都立高校の修学旅行等に関し、その計画づくりから指導し、届出を義務づけ、安全面の確認を行っております。
次に、修学旅行の状況の把握等についてでございますが、都教育委員会は、都立高校の修学旅行等に関し、その計画づくりから指導を行う中で、内容の把握を進めています。
次に、修学旅行等における学習についてでございますが、都教育委員会は、都立高校の修学旅行等に関し、その計画づくりから指導を行う中で、内容の把握を進めています。
引き続き、こうした取組を適切に行ってまいります。
最後に、都立高校での教育の進め方についてでございますが、都教育委員会は、都立高校において、教員が生徒に対し公正で中立な立場から指導を行うよう、校長等の管理職や教員に研修を実施しております。
◯福祉局長(高崎秀之君)
四点のご質問にお答えいたします。
まず、多様な他者との関わりの機会の創出事業についてでございますが、本事業は、乳幼児期から多様な他者との関わりの中で、非認知能力の向上など、子供の健やかな成長が図られるよう、保護者の就労等の有無にかかわらず保育所等で子供を定期的に預かるとともに、育児不安を抱え、支援が必要な家庭を新たなサービスにつなぎ、継続的に支援するものでございます。
そのため、全ての就学前児童を対象に、利用時間の条件を設けずに実施しております。
次に、非認知能力の向上についてでございますが、非認知能力は、乳幼児期、学童期、思春期を通して育つものとされておりまして、乳幼児が他者との関わりの中で健やかな成長が図られるよう、都は、保護者の就労等の有無にかかわらず保育所等で子供を預かる取組を実施しております。
なお、国の、こども誰でも通園制度に関する調査研究によれば、子供に見られたよい変化として、保護者がいない場所でも保育者や他の子供と過ごすことができるようになったが約七割を占めております。
次に、事業の制度設計についてでございますが、国の保育所保育指針に係る通知では、乳児期において、子供は身近にいる特定の保育士等による関わりを通して相手との間に愛着関係を形成し、人に対する基本的信頼感を培っていくとされております。
なお、国の、保育が子どもの発達に及ぼす影響に関する研究によりますと、乳幼児期の母親の就労の有無や保育経験によって、思春期、青年期における発達、行動上の相違や特徴は特に見られず、親子関係の発達などにおおむね有意な差は見られなかったとされております。
最後に、愛着形成への影響についてでございますが、国が策定した、はじめの百か月の育ちビジョンにおいても、保育者など、子供と密に接する特定の身近な大人も愛着対象になることができるとされております。
また、乳児期は、保護者や養育者にとって特に大変さを感じやすい時期であり、子供の育ちの質を保障する観点からも、保護者や養育者の子育ての負担感や孤立感の緩和などを全ての人で支えていくことが必要とされております。
そのため、全ての就学前児童を対象に、利用時間の上限を設けず実施しております。
◯子供政策連携室長(田中愛子君)
まず、東京都こども基本条例についてでございますが、東京都こども基本条例では、国のこども基本法と同様に、子供の最善の利益の定義に係る直接の規定はございません。
国会答弁におきましては、何が子供にとって最善の利益であるかは、それぞれ、その子が置かれた状況によっても異なると考えられるため、一概にお答えすることは困難とされております。
東京都こども基本条例では、全ての子供が、今と将来への希望を持って伸び伸びと健やかに育っていけるよう、社会全体で子供を育む環境を整備することを基本理念としております。
次に、子供政策についてでございますが、都は、二〇五〇東京戦略におきまして、誰もが将来の夢や希望をかなえ、一人一人がもっと輝く東京を目指す東京の姿として掲げておりまして、この実現に向けて、子供政策をはじめ各分野の政策を展開することとしております。
なお、子供政策連携室は、チルドレンファーストの社会の実現を目指して、全庁的な視点に立って各局等と総合調整を行っております。